韓國は、中國への依存を減らすため、主要鉱物のサプライチェーンの多角化を加速させています。この政策転換は、主に韓國政府が新たに発表した「主要鉱物供給確保戦略」によって推進されており、中國の鉱物資源への依存度を低下させることを目的としています。この動きは、韓國のサプライチェーンの安全に対する重視を示すとともに、世界的なサプライチェーン再編の傾向を反映しています。

韓國貿易協會のデータによると、2023年の韓國の水酸化リチウムの輸入総額は61億9000萬ドルに達し、前年比69％増加しました。このうち、中國からの輸入比率は8.3ポイント低下し、2022年の87.9％から79.6％となりました。この変化は、韓國が中國の水酸化リチウムへの依存を減らし始めていることを示しており、水酸化リチウムは電気自動車の動力電池生産に不可欠な原料です。

さらに、電気自動車の駆動モーターの製造に使用されるもう1つの主要鉱物であるネオジム磁石についても、輸入形態に変化が見られました。中國からの輸入が依然として主導的地位を占めていますが、比率は2022年の87.5％から2023年の84.7％にわずかに低下し、一方、フィリピンからの輸入比率は11％から14.3％に上昇しました。

この戦略調整の背景には、単一の國への資源依存を減らすための韓國政府と企業の共同努力があります。政府のサプライチェーン多角化支援政策と、米國の「インフレ抑制法」などの世界貿易環境の変化への対応として企業が行っている調整が、この変化を促進しています。

アナリストは、韓國政府と企業の共同努力により、主要鉱物のサプライチェーンの多角化がさらに進み、中國への依存度が低下する傾向が加速すると予想しています。